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東京都の西部に位置する八王子地区は広範囲で16の一級河川があり、私達の住む中野町界隈も西から浅川、川口川、谷地川と3本流れています。
しかし今では水量も少なく場所によっては流れ自体が細くなり遂には地下の潜ってしまい一旦消滅して、さらに下流のほうでこの川の支流が合流する辺り、または別な湧水があるところから再度流れが始まるといった河川となってしまっています。
従って、川らしい川といえば5,6km離れた秋川と、少し下流で合流する多摩川という事になります。
カワウを初めて観たのは、約20年ほど前です。早歩き散歩を毎朝続けていた時でした。
20年ほど前には、3河川ともそれなりの水量で流れが絶えるという事はなかったように思います。
合計距離と山越えの負荷がちょうど良いので、散歩コースに選んでいたのが谷地川沿いのルートでしたが、そこに架かる自転車・人間が通れるほどの細い橋を渡っていた時のことでした。
カワウとの出会い
もともとこの川は落差の少ない地区を流れていたのでそれほど深くなく、しかも流速もそれほどない場所でしたが、この川にしては少し大きめのよどみというか淵に黒い物体が曲線を描きながらかなりの速度で横切ったのが視界に入り、一瞬背中に寒気が走りました。
私だけかもしれませんが、未知の何かと不意に遭遇した時、本能的にほんの0.1秒ほどの間、自分にとって既知の生物か否かの記憶の比較旅を瞬時に行い、どのリストにも入らないことを認識した時点で、今度は可能性のある知る限りのあらゆる生物を想像します。
それも頭の中にリストされている大きな恐ろしい順からの比較作業を行ってしまうようです。
そしてその時の最初の認識は、第1の比較リストになく、第2の想像リストにヒットしたカワウソでした。
何しろ想像以上に大きく見えたので、余計ゾッとして動悸が早くなったのを覚えています。。。なぜカワウソがこんなところにいるの?えーっ、しかも水中をあんなスピードで潜行するんだ。。。等々でした。
勘違いじゃないよね!とドキドキしながら姿が消えた方を注意深く目を凝らしていると、大きなRを描きながら戻ってきた直後に長い首が突然ヒュッと水面に浮かびあがってきたのです。
くちばしが鮮やかなに黄色に見えたのが印象的でした。(実際はくちばしではなく、くちばしと咽喉へと接合箇所が黄色でしたが)
なぁんだ鳥か・・・でも真っ黒い鳥って・・・冷静にカワウだろうと考えの焦点が合うまで、さらにしばらくの間の自問自答がありました。
時間がかかったのには、福島県で生まれ育った私にはカワウなど一度も見たことがなく、しかもその時までカワウは岐阜県の長良川で漁師さんに飼われている鳥だとばかり決めつけていて、野鳥として存在することなど全く考えてもいなかったからです。
(正しくは、長良川の鵜飼い漁に使用するのは一回り大きくて比較的おとなしく我慢づよいウミウの方だと知ったのは後年でした)
カワウの現状
そのカワウも生態系の変化で増え続けているようで、今では全国的に広い分布でどこにでも見かけることが出来ます。
そして、現在では、カワウは様々な問題を引き起こして共存の限界を超えて害鳥扱いとなっています。
生態としては一匹狼のような生き方ではなく集団でコロニーを形成することと、強烈な捕食の行動に問題があるようです。
問題1
水辺の近くの手ごろな大きな木が生えているところにコロニーを作り、大量の真っ白なフンでその樹木を枯らしてしまうという問題(フンが、コロニーとなる樹木の葉に積もり、光合成を妨げて、結果的に木を弱らせ枯れさせてしまう)
問題2
水中のハンター・カワウは潜行して速いスピードで小魚を捕食するため、そこに棲む小魚を根こそぎ食べ尽くしてしまうという問題。
この捕食行動は、同じように首長で小魚捕食の行動をとる、これもやはり、よく見かけるアオサギ、シラサギやゴイサギの仲間の待ち受け型捕食とは違います。
つまり、もとは自然の一部であったはずのカワウが、生態系のバランスを崩す要因となるという皮肉な現象が起きているわけです。
それに加えて、人間の居住地域の近くではコロニーで大量に排泄されるフンの臭いの問題なども無視できないところです。
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見逃せない経済的損失
その中でも一番は、直接的に経済的損失ダメージを与えてしまっていることです。
現実問題としてもうすぐアユ漁の解禁ですが、アユ釣りと生活が密着している地域の人達・遊漁券などで生計を立てる漁協の仕事に関連する人たちにとって、アユなどを根こそぎ捕食するカワウの群れは大きな脅威であり、死活問題です。
ましてや、近くの秋川流域などの魚影が少ない地域ではアユ漁解禁のタイミングに合わせてアユを放流しますが、せっかく放流してもカワウの餌食になるのでは、一年間遊漁のために準備してきた全てが無に帰してしまう可能性が高くなってしまいます。
そうなるといやがおうでも、カワウの追い払いや駆除する自衛策を打つ必要に迫られます。
秋川沿いを朝早くクロスバイクで走ることがよくあるのですが、毎年この時期(4月頃以降)になると毎朝、秋川漁業協同組合の方々が、2,3人単位で1~2kmおきに寄り合ってカワウの飛来を見つけるとロケット花火のようなものに点火し、その破裂音でカワウが近づくのを阻止している光景をみます。
アユ漁解禁中のすべてを通して毎日この作業を黙々と続けているので、本当に大変なご苦労をされているようです。
それ以外にも至る所で、川の両端に竹の棒を挿してテグス糸のようなものでキラキラと反射する凧を吊って風が吹くとその凧が大きく前後に揺れて同様にカワウの接近を阻止しているのも見かけます。
今後の課題・進行形
調べてみると、カワウの問題は日本だけでも全国的な広がりをみせていて、各自治体によって温度差はあるものの、数年前から対応策が検討されだしているようです。また世界的にみてもより実害は広がっており、かなり以前から駆除を含めた対応が行われていることが分かりました。
ちなみに、私が早朝以外の時間帯でのサイクリング途中で見かけるカワウの捕食行動後の休憩所が、高月浄水場の裏にある策に囲まれた大きな池を囲むように生えている広葉樹で見ることが出来ます。時間帯は午前11時前後には大体15~20羽を常に見ることが出来ます。
今回とりあげたカワウなど、カラスもそうですが天敵の少ない生き物は、全体の生態系のバランスの中で許容範囲以を超えた場合の対応には大変な苦慮を強いられることになります。
下手すると、コロニーの分散化を引き起こす危険があるので、単に駆除すればよいという問題ではなく、繁殖環境のコントロールまで考えながら総合的な対策がを模索していかなければなりません。
自然との調和を図りながらの対応は、一朝一夕で解決するようなものではないので国、自治体、現場の漁協が一体となって慎重で確実な対応が必要とされる難しくて想像以上に時間が掛かる問題になってしまっています。
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