自転車で山登り・自然豊かな陣馬山を目指す

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八王子は周囲を山に囲まれた盆地地形ですが、その中で一番高い山が奥高尾の陣馬山で標高は857m。交通手段の手軽な高尾山(599m)にははるかに及びませんがハイキングの定番として週末には大勢の方たちが訪れます。

頂上からの眺望は素晴らしく、都心から神奈川方面、富士山、秩父方面全方位を見渡すことが可能です。

交通手段は、バスの場合は陣馬高原下のバス停まで西東京バスが運行し、ここから歩きとなり、マイカーなどの場合はその先のかなり細い道(都道521号)経由で和田峠・峠の茶屋の駐車場(有料)に止めて歩くことになりますが、尾根伝いのルートとなるので残り標高差で170mほどを歩くだけなので比較的楽です。小さな子供連れでもこのルートは無理することなく十分可能です。

この夕やけ小やけ・ふれあいの里にほど近い恩方郵便局先の分岐から和田峠までの道路は舗装のしっかりしたルートなので自転車(ロードバイクやクロスバイク)の峠越えのルート(行程約6.2km)としても人気があります。
ただし最後の3kmほどは急坂が続くので少々の覚悟がいる上に、乗用車も多くはないですが通りますので少し気を遣うルートです。

醍醐林道の概要紹介

今回は、これに対して距離はやや延びますが、傾斜がそれほどキツクなく和田峠に至るまでの景色、見通しが521号よりははるかに素晴らしい行程約8kmルートをご紹介したいと思います。(とはいえ、キツイ箇所が最初に一か所だけありますが)
先ほどの分岐を和田峠方向の左に折れずにまっすぐに進むのですが、道順で迷うことは特にはなく、約3kmほど点在する家屋が尽きた所から始まる約5kmほどの醍醐林道のルートとなります。
最初の3kmの間の中間地点に、とても美味しい湧き水の出ているところが2か所あり、地元の人達の尽力で採水しやすいように整えられていますので、

醍醐林道と湧き水
醍醐林道と湧き水

水筒やペットボトルは持って行っても中味はカラでも全く大丈夫です。

この林道は一応、舗装はされていて30年ほど前は車で通った記憶があるのですが、現在は谷川の路肩の崩れや、山側の落石のために車両通行止めとなっているので、歩くか自転車通行のみとなっています。

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醍醐林道の魅力

通常めったに人が入らないこの林道の舗装路は、周りに植えられたスギとヒノキの針葉樹林から落ちて散乱した葉や小枝の材料を使って、大自然の豪雨という造形家達によって幾何学模様が描かれており、自転車走行の場合は常に左右に避けながら進まなければならないのでかなり緊張しますが、自然の動植物との数多くの出会いが必ずあるので、そちらのワクワク感に魅了され何回も何回もこのルートを走ってしまいます。

オオルリの谷川の響き

特にこの季節は針葉樹林を縫うように尾根伝いに新緑の帯が山頂まで延びて、春の芽吹きの歓びに圧倒されます。自然豊かなこの林道は入り口直後が一番の急坂なのですが、市の鳥に指定されている「オオルリ」のさえずり声が盛んに聞こえてきて、ペダルを踏むしんどさを忘れさせてくれます。「オオルリ」の鳴き声は声量豊かなのに澄んでいて、語尾?が砂に染み込む水のようにスゥーッと森に吸い込まれてゆく余韻の美しさが特徴なのですが、この場所では見事に枝打ちされたヒノキ林が多い関係か、声が広葉樹の葉に遮られることなく遠くまで響き、より長い余韻を楽しめました。

また、左の谷側ののり面は急激に落ち込み覗けば若干足がすくみますが、深い谷を流れる水音はメリハリのあるホワイトノイズで常に心地よいBGMを奏でてくれますので、贅沢な森林浴を満喫しながらの登攀という事になります。

小枝のはずが~シマヘビ

更に急坂特有の深いヘアピンカーブをいくつか越えた先で尾根を巻くように針葉樹から広葉樹林に切り替わり一気に春の日差し明るい道路に変化します。
今回ここでは杉の枯れ枝だとてっきり思い込んでいてタイヤで踏まないように右にハンドルを切ったとたんにその枝が急に動きだしドッキリ!一瞬何が起きたのかと思ってよく見たら、大きめのシマヘビでした。
あっという間の出来事でスマホで写真とまでの余裕はありませんでした。近頃はあまり目にする事はなくなりましたが、子供の頃には友達と学校からの帰りにシマヘビを見つけようものなら、当時、蛇のなかでシマヘビは唯一の食用対象品種でしたので、我先にと寄ってたかって襲い掛かり捕まえたものでした。
何しろ首根っこを最初に押さえつけたものに一番の権利があるのが暗黙の了解でしたので、いつも蛇や野ウサギをさばいてくれるおじいさんのところに意気揚々と持ち込んだものでした。

カラスアゲハとケマン(華鬘)

 谷川方面に逃げ込んだシマヘビの少し先には小型のカラスアゲハ蝶(今の時期では早すぎるので正確にはカラスアゲハではないかもしれませんが、鱗粉の色と輝きはまさしくそれでした)

キケマン

と花柄にぶら下がって咲くムラサキケマンとキケマンの花が塊で咲いていました。

ウグイスの響き

視界が開けだすこの辺りになるとオオルリの鳴き声は無くなり、代わって主役はウグイスとなります。関東西部のこの地域では、卵を産むこの時期には相手探しのアピールと縄張り主張のためにいろんな鳴き声をする姿は、本能とはいえその必死さゆえに、切なさと微笑ましさの感情が同時に湧き上がってしまいます。

だいたいは、その近くにいる2羽がそれぞれこれ見よがしの美声で張り合うのですが、私もついつい反応が面白くて口笛で割り込む意地悪をしてしまいます。今回は最初の時点ではかなり長めのケキョケキョ・・・との威嚇扱いを受けました。オオルリはその深い色と背が高く光を遮る針葉樹の中での遭遇が多いのでなかなか個体を観ることはできませんが、その点ウグイスはやぶの中とはいえ個体を目撃するチャンスは多くなります。今回も2羽とも確認できました。

アオバトの響き

その場所より、少し上がった場所では幸いにもアオバトの鳴き声も聞くことが出来ました。ボルネオやスマトラのサルの鳴き声というか、ある種太めの悲鳴にも似た独特の鳴き声(ヒューワァーオー)までは完成していませんでしたが、もしかすると求愛の声は敢えて違うのかも知れません。今回の鳴き声は声帯は同じでしたが(ワァーオー)だけでしたが、声は太くしかし透明感があり遠くまで響くアオバト特有のものでした。

オトシブミは芸術家!

また、今回の林道580m辺りにはエゴノキが多く生息していてその下を通りかかったときに几帳面で綺麗に包装された葉っぱの粒がそこいら中にあるのに気が付き、今年は初めて出会ったオトシブミの卵でした。

ご存知とは思いますが、知らない方のために一応説明しますと、このオトシブミ(「落とし文」と文学的で奥ゆかしい名をつけられた昆虫です)は実に不思議な生態の持ち主で、昆虫における私の第一のお気に入りです。
成虫は首のあたりがとてもバランスが悪く不格好で、その醜さはお米などの害虫コクゾウムシに雰囲気の似た昆虫です。

醍醐林道オトシブミ
醍醐林道オトシブミ

しかし、卵を産み付ける葉の処理は開いた口が塞がらないほど実に芸術的で、精巧な折り紙を作っているかのようにエゴノキ(オトシブミの種類等で、エゴノキだけとは限らない)の葉に綺麗な切り込みを入れ、それはそれは几帳面に半分に折りたたみ、一粒の黄色い卵を産み付け、先端からバウムクーヘンのように巻き取っていき最後に葉が勝手に開き戻らないように織り込んだうえで樹上から切り離します。

落ちた葉(バウムクーヘン?)はオトシブミの子供のためのベッド(ゆりかご)であり、幼虫時の食料でもあるので、まさに一石二鳥を狙った信じがたい生態です。今回もそのうちの一つを開いて卵を確認しました。(写真:いつも見ている卵【いつもは工学院大学の裏山のエゴノキの下】より心なしか大きく感じました)

さらに上っていくと林道の最高点(方向720mくらい)の場所に出ます。ここからは陣馬山の山頂にある馬のオブジェも小さく見えます。この地点での周囲にはたくさんのヤマブキの黄色い花が咲き乱れていました。ここから和田峠までは標高差で30mほどの下りとなります。

最高点から和田峠まで

最初に記載したように、醍醐林道は都都道521号線ルートより最高点で30mも高い地点を通過するにもかかわらず、標高差の急峻な場所を5kmほどかけて登ってくるために自転車でもそれほどの大変さは感じることなく下から自然を楽しみながらノンストップで登り切れます。一方、521号ルートは、もちろんノンストップは可能ですが、途中3か所ぐらいでもう走るのをやめて戻っちゃおうかなと心が揺れる箇所が3か所ほどあります。若く元気な方向けかなと思います。ただし、八王子市内から立川方面をバランスよく俯瞰できる箇所が2か所だけあります。それ以外は景色もずっと針葉樹林の中だけなので辛さとの対話を好む方以外は醍醐林道ルートをお勧めいたします。

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